訓練(リハ)への導入、意味づけ、動機づけ意味づけ、動機づけ

訓練の意味

メタファー

故障した車(メンテナンス)

具体的対応例

今は事故や病気で脳の一部がけがをしている状態。車のエンジンが一部の故障やキズで動かなくなったり、さびていると考えてみてください。動かないからとそのままほおっておくとますます動かなくなる。オイルを入れたり、定期的にメンテナンスすることで少しずつうごくようになることがある。脳も訓練を受けることで刺激というオイルやメンテナンスを行うことになるので、少しずつ回復する可能性があります。

障害の認識、認知リハへのモチベーション

メタファー

けがしたスポーツ選手(準備運動が必要)

具体的対応例

優秀なスポーツ選手でも大けがの直後は全速力では走れない。患者様の脳も同じで、いわば大けがの直後なので、全速力では回転しない状態、エンジンを温める準備運動が必要です。

リハについての説明

メタファー

通行止め(迂回路を探す)

具体的対応例

普段歩いている道が突然通行止めになったらどうします?別の道を探しますよね。通行止めになったのが「障害」で別の道を探すのが「リハビリ」です。なれない道で遠回りになりますが、「目的地へ着くんだ」という想いを大切に一緒に考えていきましょう。

訓練への導入

メタファー

寝たきりの体(ぼんやり)

具体的対応例

「寝たきりでいると、体と同じように頭もぼんやりしてしまって、自宅に帰ってから困るのでは?」と話すと、「確かに入院してから頭がぼんやりしたのよ」と言い、訓練に取り組むようになった。

訓練に導入

メタファー

落とし穴

具体的対応例

失敗の原因となることを「落とし穴」と表現する。

訓練への導入

メタファー

戦力外通告されたプロ野球選手

具体的対応例

すぐに社会復帰をしたいと焦る患者に対して「プロ野球では最初は2軍で実績を作って認められなければ1軍にはあがれないし、1軍にあがってもスタメンになるにはさらに厳しい競争がある。入院中はいわば戦力外通告を受けた状態。1軍の就労準備訓練をめざそう。さしずめキャッチボールやノックからですかね」と説明すると「試合に出る気が満々なのは私だけで、まだまだ認められていないんですね」と納得した。

就労・復学

メタファー

平時の備え

具体的対応例

平時の備えが大切です。

訓練への導入

メタファー

スポーツの基礎訓練(目に見える身体の訓練に例える)

具体的対応例

脳機能のリハビリもスポーツと同じように毎日の基礎的な練習を繰り返すことで無理なく能力や体力を向上させることができる。初心者は基礎訓練から始めましょう。

訓練のモチベーション

メタファー

出口の見えないトンネル

具体的対応例

今はトンネルの中にいて出口が見えない状況だと思いますが、先に進んでいけば必ず出口が見えてきます。それまで続けていきましょう。

神経疲労、耐久性の低下の説明、リハビリの動機づけ

メタファー

風邪を引いた後の体力低下、頭の体力(をつける)

具体的対応例

神経疲労が強いが、早期に職場復帰したいと話す患者に対して「風邪をひいて体力がないと、仕事をすることや覚えたり考えたりすることは大変ですよね。頭も同じで、○○さんの場合、病気の後で頭がまだ疲れやすいので、急に仕事に戻ると大変だと思います。仕事をするには、体の体力だけでなく、頭の体力も必要なので、まず、わたしのところで頭の体力をつけていきましょう」と説明し、リハビリに同意してもらった。

リハビリへの導入

メタファー

頭の体操

具体的対応例

病識のない方に「入院中というのは頭を使わないから、使わないままだといざ仕事に戻った時に億劫に思うかもしれない。頭の体操だと思って、一緒に頭を使う作業をしていきましょう」 と説明して納得してもらった。

訓練への導入

メタファー

頭の筋肉痛(頭が頑張っている証拠)

具体的対応例

「脳の病気やけがではいったん脳のキャパシティが小さくなってしまう。キャパを広げようと頭がボーとなったり、真っ白になったり、フリーズしたりします。それは身体の筋肉痛のようなもので頭の筋肉痛です。だから心配しないで。それを繰り返しながらだんだんキャパが広がっていきます。頭が頑張っている証拠です」というとすんなり訓練を受け入れた。

就労支援の受け入れ

メタファー

離陸前の準備

具体的対応例

早く復職しないと席がなくなる、等あせる患者に、就労支援を受ける気持ちになってもらうために「離陸前には整備とチェックを入念に行うもの。整備不良で離陸して、上空で気づいたときには手遅れとなって、落ちてしまっては困ります。結果的には、離陸前の準備をちゃんとしたほうが、現地には早く着くかもしれませんよ。」と説明した。

リハの目標

目標設定

メタファー

ゴルフのホール

具体的対応例

(ゴルフが趣味だった利用者に)ゴルフをする時、どこにホールがあるかわからなかったら、1日中やっても終わらないですよね。まずはどこにホールがあるか確認しましょうよ。

リハの目標

メタファー

RPG「経験値をあげてレベルアップ」

具体的対応例

RPG(ロールプレイングゲーム)が好きな患者が「主人公が経験値をあげてレベルアップして強くなる」と述べたので、「今○○さんがやっていることがレベルアップすること、それが○○さんのリハ」と伝えたところ、「主人公というわけね」「確かに経験値が上がってレベルアップしている」といい、その後の訓練の合言葉になった。

相談に導入

相談に導入

メタファー

心と体は一つ 体が悲鳴 ひと山越える

具体的対応例

心と体は一体です。全体がひとつのものとして動いています。体が(けがなどで)悲鳴をあげていると、心はお休みしていますが、体が落ち着くと、いろいろ悩みが出てくるものです。それは体が危機を脱出した証だと捉えられます。○○さんの場合はひと山越えられたわけです。今度は、心の中を整理する順番が回ってきました。相談に来てみませんか?

相談に導入

メタファー

頭の中の地図(書き換え)

具体的対応例

事故(病気)によって、今までできていたことが苦手になってしまうことがあります。今まで当たり前だったことがそうでなくなるわけですから大変驚かれると思います。今まで持っておられた頭の中の自分の地図(できること、できないことの地図)を書き換えしないといけません。相談で話をされる中で、頭の中の地図を書き換えるお手伝いができるのではないかと考えています。

相談に導入

メタファー

傷の手当て

具体的対応例

何も対策を立てないことは、傷ついた部分を手当てしないでそのまま痛いままにしておくことと同じです。傷ついたり、弱くなってしまったところの手当てをするために相談にきませんか。

現状認識(アセスメントの意味、障害認識、困難)

気づき

メタファー

「悪い虫」「良い虫」

具体的対応例

本人の繰り返される課題への気づきがあった場合に、「悪い虫」と「良い虫」と説明した。

現状認識

メタファー

霞がかかった

具体的対応例

少しづつすっきりしてきたものの、霞がかかったようなのですね。

アセスメントの意味

メタファー

落下したコンピュータ(不具合検査)

具体的対応例

コンピュータを上からガシャンと落としたような状態です。落とし方やぶつかった場所、その程度によって故障の重軽度や可能性は様々です。それは頭にも言えることです。どのくらいの故障がおきているのか調べるために、頭の中の場合はテストをします。

就労の難しさ

メタファー

(階段ではなく)壁を登るようなもの

具体的対応例

医学リハ、生活訓練、就労訓練までは希望すれば受けることが可能であり、階段のように上がっていけるが、就労については「大きな壁を登るようなもの」と説明したところ、「確かにそうだと思う」と理解した。

家庭復帰困難

メタファー

受験(第2希望の選択肢)

具体的対応例

家庭復帰が諸事情で困難な利用者が、施設退所後の進路を家庭復帰しか思いつかないという際、「じゃあ第1希望は家庭復帰でいいです。でも、ご自分の受験の時にも受験先は第1希望だけではなく、第2希望も受けましたよね。第1希望がもしうまくいかなかった時のために、第2希望の進路もお聞きしたいです。もちろん第1希望通り家に帰れるのが一番です。でももしかしたら杖なしで歩けるようになるのはやっぱり難しかったとか、うまくいかない場合もあるかもしれません。そんなときのために、あらかじめ受験みたいに第2希望も考えて、もしもに備えておいた方が安心ですよね。」と家庭復帰以外の進路について考えることを促した。

現状理解

メタファー

相手を知る、戦術

具体的対応例

相手と勝負するときはまず相手のことを知る必要があります。相手のことを知れば効果的な戦術も見えてきます。

現状認識

メタファー

(250ccから性能がダウンした)50ccの原付バイク

具体的対応例

訓練場面で受傷前のようにうまくいかないことにイライラしてしまう患者さんに対して「昔のあなたが250ccのバイクだとすると、今は50ccの原付のようなもの、原付では以前のように高速道路を走ることはできない。今は下道をこつこつ走りながらゆっくり先に進みましょう」と伝えたところ、現状を少しずつ受け入れ、以前よりも落ち着いて訓練できるようになった。

現状認識

メタファー

浦島太郎

具体的対応例

術後、あまりにも大きく変化してしまった現実や休職後の会社の状況を目の当たりにした方に「浦島太郎になってしまった気分ですか?」と話したところ、ぽろぽろと涙を流された。

障害の認識

メタファー

高次脳機能障害は顔と同じ(自力では見られないが他者には見える)

具体的対応例

高次脳機能障害は、顔と同じで、人間が唯一自力で見られない体の部分でありながら、他者には見えてしまう上、隠してしまうこともできないのです。知らないところで恥をかいてしまわないよう、自分でチェックするためには鏡に映す必要があります。その鏡がリハビリであり、スタッフや家族など、信頼できる身の回りの人の言葉です。鏡は本人が目を向けて、困る部分を取り除くつもりであればたくさんの情報が得られますが、そっぽをむいていたら何も役に立たない道具でもあります。是非真正面から見つけてやろうとがんばりましょう。

障害の受け入れ

メタファー

料理の仕方

具体的対応例

家族に対して発症前と同じようにかかわりたいが何もできないので何もしない方がいいと話す患者から、テレビで片麻痺の高次脳機能障害の人が料理をしていた話(乱雑に果物を切っていた)が出て「こんな料理の仕方でいいんだ、前と同じようにやろうとするとできないのだ」と話されたので、心理士は「家族関係も新しい形を模索していくのかもしれない」と伝えた。

失敗への対処、フォロー

訓練での躓きのフォロー

メタファー

(何度も練習する)歩行訓練

具体的対応例

歩行訓練と同じようにうまくいかなくても当たり前。何度も練習を繰り返しすと少しずつできるようになります。

訓練での躓きのフォロー

メタファー

初めての自転車乗り

具体的対応例

自転車も初めから乗れなかったよ。訓練開始時にはうまくいかなくて当たり前です。

失敗を未然に予防

メタファー

予防接種

具体的対応例

今ここで失敗したことは社会に出たときに失敗を軽くする予防接種になっているんですよ。

神経疲労、易疲労性

神経疲労・易疲労性の説明

メタファー

混雑する駅での乗換

具体的対応例

私たちが、渋谷や新宿といった巨大な駅で、別の会社 の電車に乗り継ぐとき、全体の位置関係が掴めず、キョロキョロしながら自分に必要と思う情報を探しますよね。人は除けなきゃならない、自分の居場所はつかめない、行くべき方向は見当さえつかない。そんな時ひどく疲れます。

神経疲労の説明

メタファー

控えの野球選手(ドジで無駄な動き)

具体的対応例

脳も受傷によって全体を 把握していた1軍の選手が壊れて引退です。2軍の控え選手が出てくるわけですが、 これまで練習していないし、他のポジションとの連携の仕方も分からない。体力も十 分に備わっていない上に、合理的な鍛え方もしていない。加えて、自分に関係ない情 報までいちいち反応する、といった非常にドジで無駄な動きをいっぱいして疲労困憊します。

神経疲労の説明

メタファー

激流のように動く人の流れ(一歩踏み出す)

具体的対応例

「改札口を出て一歩も進んでいないのに、激流のように動く人の流れと、必要な方向に 一歩踏み出すための情報を探すので疲れてしまう、そんな状態と似ています。」と急性期の不活発さから回復していく過程で見られる多動などの神経疲労を説明した。

易疲労の説明

メタファー

全力疾走(続かない)

具体的対応例

同じ作業をするために、けがの前はゆっくり歩く程度の頑張りでできていたが、今は全力疾走の頑張りでしないとできない。ゆっくり歩くなら長い時間続けられるけど、全力疾走ではそうはいきません。

易疲労性の説明

メタファー

減員された会社の残った社員

具体的対応例

今まで100人でやっていた会社が突然60人でやらなくてはならない状況になってしまいました。残った社員さんは一生懸命頑張っていますが疲れていますよね。これが今の○○さんの状況です。残った社員にも適度に休憩をしながらやってもらいましょう。

易疲労性の説明と対処

メタファー

(120kから性能ダウンし)時速80kで走る車

具体的対応例

「発症前と同じように家事をしてとても疲れて動けない」と訴える患者に「時速120k出せる車と時速80kまでしか出せない車では同じ時速60k走っても余力が違う。今は時速80kで走る車に乗っている状態なのでゆとりがなく疲れてしまうのです」と説明すると納得した。

神経疲労の説明

メタファー

(10人から5人に)担ぎ手が減った神輿

具体的対応例

10人で担いでいた神輿を5人で担いだら一人に対して倍の負荷がかかり早く疲れる。脳も同じで前より少なくなった細胞で処理しているのだから、疲労が早く来るのは当たり前です。

疲れたときの休憩

メタファー

車のバッテーリ切れと充電

具体的対応例

バッテリーの残量がゼロになる前に充電したほうが効率的ですよ。

神経疲労

メタファー

優雅に見えるが必死で水をかいている白鳥

具体的対応例

何もしていないようでもいっぱい刺激を受け脳が情報を処理していて神経疲労を起こすことを「優雅に泳いでいるように見える白鳥が必死に水をかいているのと同じ」と説明した。

易疲労性

メタファー

脳の一部が休んでいる

具体的対応例

「欠伸が出て、すぐ疲れる、どうしてかしら?」という質問に対して、「脳の一部がまだ休んでいる。脳がフルに活動できないので、病気の前と同じことをやっても疲れやすい。手の傷ならば手に負担をかけないように注意して使うことができるが、脳は見えないから加減がわからない。いきなりフル活動すると脳には負担が大きいので、あくびが出てきたら『疲れた、休憩したい』というサインだから脳を休ませましょう」と説明したら、「脳が疲れる。病気のせいなのね」と理解し、怠けているわけではないと確認できた。

情報処理の容量・速度の低下

ワーキングメモリーの機能

メタファー

作業机(黒板、まな板、パソコン)

具体的対応例

頭の中の作業机(人によっては黒板、まな板、パソコンの容量)が小さくなっています。

情報処理の説明

メタファー

○の大きさ、箱の大きさ

具体的対応例

注意の容量や記憶の容量を丸の大きさや箱の大きさにたとえ、発症前と後で一度に入力できる容量が小さくなっているために、同じように情報処理したり記憶することが難しくなっている状況であることを説明した。

障害(情報処理)への説明

メタファー

パソコンのフリーズ

具体的対応例

PCの操作で、次から次へと指示を出すと処理が追いつかず、フリーズしてしまうのと同様に、一度にたくさんの指示を出すと混乱したり思考や動作が停止してしまうことがあります。処理容量に合わせて一つずつゆっくりと指示を出すのが大切です。

情報処理容量の低下の説明

メタファー

作業スペース、まな板

具体的対応例

「10の広さの作業スペースでいろんな作業をしていたのが、5の広さになった場合、これまでは同時進行で行えていた作業が、少し大変になるのと同じです。スペースが狭いから、前よりも作業に時間がかかったり、同時進行できなくなったり、ミスしてしまうことがあります」と説明すると納得し、腑に落ちる方が多い。「作業スペース」でなくて「まな板」にする時もある。

情報処理の容量

メタファー

パソコンメモリの容量

具体的対応例

事故後患者が「自分はアホになったんです」と言うので、「高次脳機能障害はPCでいうとこころのCPUには変わりはないんだけれど、メモリの空きがなくなって要領よく処理できなくなった状態。一つずつ処理していけば(あなたの場合)正確性にはさほど問題はないはずです」と説明した。

注意の容量

メタファー

(バケツ一杯あった注意が)お茶碗一杯に

具体的対応例

バケツ一杯あった注意がお茶碗一杯くらいに少なくなっています。

情報処理の説明

メタファー

(新幹線から)ちぎれた線路を走る列車

具体的対応例

今まで新幹線でぴゅーと情報が走っていたのに線路がちぎれちぎれになって遠回りしたり、乗り継ぎながら情報が進んでいるので時間がかかります。

記憶障害

記憶障害の説明

メタファー

パソコンの機能

具体的対応例

記憶のプロセスについてパソコンを例に入力して再度ファイルを開くことにたとえ、入力時の障害か再生時の障害かを説明した。

記憶障害の説明

メタファー

虫食い状態

具体的対応例

あなたの記憶は虫食い状態です。

記憶・入力

メタファー

記憶の箱に入れる

具体的対応例

本人の主訴は記憶だが、入力(注意)に問題がある患者に対処法の説明をする時「頭の中に記憶の箱があって、○○さんの場合、覚えるべき内容が箱に入りさえすれば覚えておけるのですが、入れるところでつまずいている可能性がある。だから覚えなくてはならないことにはたとえば『ここにしまったぞ』としっかり意識を向けるとうまくいきますよ」と伝えた。

記憶障害・注意を向ける

メタファー

口がよそを向いたビン

具体的対応例

うちの子は関心のないことはちっとも覚えていないと嘆く家族に「ビンの口がよそを向いているとき、水を入れようとしても入らないのと同じ。まずは口をこっちに向けてから、水を入れるようにしてみましょう。これから話す内容に関心が持てるように、少し前ふりのような話をするといいかもしれません。もっと単純に、注意をむけるだけなら名前を呼んだりこっちを向かせるなどでも有効なことがありますね」と説明した。

代償手段(メモリーノート他)

メモリーノートの導入

メタファー

転ばぬ先の杖

具体的対応例

必要を感じない患者に「今は必要ないかもしれませんが、大病した後なので慎重に行きましょう。メモリーノートは“転ばぬ先の杖”なんですよ」と説明し了解を得た。

メモリーノートの導入

メタファー

脳ミソ、脳の分身

具体的対応例

手帳の利用を必要ないと拒否する患者に「この手帳はあなたの脳ミソの一部。頭で思い出せなくてもこの脳ミソがちゃんと働いて教えてくれるはず」と言った。すぐにはメモリーノートを使おうとしなかったが、職場で失敗したことをきっかけに使用するようになり、「これ(手帳)は私の脳の分身です」と言うようになった。

代償手段の導入

メタファー

メガネ、杖

具体的対応例

「視力の低下した人は眼鏡をかければ見えますよね。同じように、苦手なことや大変なことがあったら、それを補うために工夫したり道具を使うことは大事だし、普通のことですよ」とメモリーノートなどの導入の際に説明した。「眼鏡」でなく「杖」にする時もある。

代償手段

メタファー

使える武器(を用意)

具体的対応例

代償手段を武器に例えて、「社会の荒波にのまれないためにも使える武器を用意してから復職することをお勧めします」と伝えると前向きに検討してもらえた。

代償手段

メタファー

暗算より筆算

具体的対応例

ワーキングメモリーの障害のためにメモリーノートの利用を促したい人に「暗算より 筆算を」使い頭への負荷を減らすことで余力を残すことをイメージさせた。

前頭葉機能(遂行機能障害)

前頭葉機能の説明

メタファー

車(オートマからミッション操作への切り替え)

具体的対応例

今まで意識せずにできていたことができなくなったとの訴えについて「今までは意識せずとも自動的にできていたことが、意識して確認していく必要があります。自動車でいうと、これまでオートマで動いていたのがミッションで操作しないといけなくなったということに似ています」と説明した。

前頭葉機能の説明

メタファー

オーケストラの指揮者

具体的対応例

「それぞれの楽器はならせても、指揮者がいないとばらばらに音を鳴らして音楽にならないという状態になります。脳の中も一つ一つの機能に対して【前頭葉】が指揮して意味のある行動につなげてくれているのです」と説明して理解を促した。

前頭葉機能訓練導入

メタファー

信号機の故障、手動での交通整理

具体的対応例

今まで○○さんは今することとこれからすることなど情報をパッパと信号機のようにすばやく交通整理されていたと思います。病気でその信号機の具合があまりよくないようです。手動で交通整理するつもりで一緒にスケジュール管理の練習をしましょう。

遂行機能障害

メタファー

(複数路線の複数電車から)単線型電車

具体的対応例

処理能力が落ち複数作業の遂行が難しくなってしまった人(遂行機能障害等)に一つずこなすために、「複数の電車を複数の線路に走らせ行き交うのではなく、一つの電車を単線で走らせる。駅ではかならず止まりすれ違いは信号が変わってから(年齢の行った方にはタブレット交換をして)確実にすれ違うような単線型でいきましょう」と説明した。

易怒性、感情コントロール

易怒性の説明

メタファー

ピーンと張りつめた糸(すぐ切れる)

具体的対応例

「ピーンと張りつめた糸が容易に切れるよう、理由はなんでもよく、何でもきっかけがあればそれに飛びついて切れます。負荷が大きいとそういう状態になります」と家族に説明した。

易怒性の説明

メタファー

心の体温計

具体的対応例

心の体温計がふり切れるのです。

易怒性と対処

メタファー

瞬間湯沸かし器

具体的対応例

瞬間湯沸かし器と同じです。消火器ももてるようになりましょう。

易怒性と対処

メタファー

(ジョーカーより)クィーンやハートのエースを使え

具体的対応例

いつもジョーカーばかり出しているけど、クィーンとかハートのエースも時に出してみたらどうでしょう。

感情コントロール

メタファー

腹は立っても頭にくるな

具体的対応例

感情とか気持ちは、「腹が立つ」とか「むかつく」とかそういう言葉にされることが多く、それは首より下の部分にたとえられます。そういう気持ちは、障害のあるなしにかかわらずわくものです。でもその感情が上にのぼって、「頭にくる」とか「頭に血が上る」といわれるような状態になると、これはもう冷静さを失った状態で、まともな判断ができません。その場にもっともあった対処をするためには、頭が冷静である必要がありますので、頭とおなかの間の口から、説明したり、質問したりして、逆上するのを防ぐといいですね。

その他の症状(注意・集中等)の説明

症状の説明

メタファー

ネーミング(例:うっかり)

具体的対応例

障害と言う言葉を使わずに、本人の受け入れやすい表現に変えたネーミングで“注意”を“うっかり”と説明した。

集中力

メタファー

ぼんやり

具体的対応例

ぼんやりしている時は、本を読んでいても読み飛ばしたり、頭に内容が入ってこないことってありますよね。脳卒中後は、ぼんやりとしたときのように、集中力が落ちてしまうことがあります。

発動性低下の説明

メタファー

スイッチを入れる

具体的対応例

家ではなにもしないのに、外の会合では今まで通りというように、場面によって振る舞いが異なる患者の家族に「場面場面で異なったスイッチが入るが、そのスイッチは他人(家族)が入れることは難しいんですよ」と説明した。

注意の選択機能

メタファー

フィルター

具体的対応例

刺激の弁別ができないという注意の選択機能の問題で困っている人への説明に「フィルター」のイメージを使用した。

その他(頑張りすぎ、焦燥感、被影響性、意欲低下、不安)

頑張りすぎ

メタファー

ピーンと張った糸(いつか切れる)

具体的対応例

頑張るとは“頑なに張る”と書くけれど、糸もピンとのばしっぱなしにすると、いつか切れてしまうように、頑張りすぎるといつか疲れてしまいます。

家族役割について

メタファー

よくほえる小型犬

具体的対応例

仕事を休職して家にいるようになって、目につくことを細かく注意し始めて家族関係が悪化したクライエントに対して「小型犬は終始『キャンキャン』と泣いています。それに対して大型犬はいざという時にだけ『バウ』と吠えます。家庭でいえば家の中をくるくる動いて、日常のことを『キャンキャン』と注意しているのが小型犬の【お母さん】の役割です。普段はじっと見守ってここぞという時だけ『バウ』と吠えるのが大型犬のお父さんの役割です。家に小型犬は2匹もいりませんよ。」と説明した。自身のもともとの家族の立場を見直し、以降家族に対して口出しすることはなくなった。

焦燥感の高まり

メタファー

頑張った袋、頑張らなくてはいけない袋(に分類整理)

具体的対応例

思いつくままに話してもらい、その内容を箇条書きにして、それぞれ「頑張った袋」、「頑張らなくてはいけない袋」に分類しながら入れていき、最後に袋の口をぎゅっと結ぶ絵をかいて整理したら「自分の状態がわかって焦る気持ちがなくなった」と話していた。

意欲低下

メタファー

面倒くさい看板(背中に貼り付け)

具体的対応例

本人が「背中に面倒くさい看板を貼っている感じ」と述べたので、以降それを用いた。

不安

メタファー

ウルトラマンが付いている

具体的対応例

一人で風呂に入っていると「誰か入ってくるかもしれない」「おそわれるかもしれない」という考えがふくらんでくると訴えた患者に、「そういう考えが浮かんで来たらためしに『大丈夫、私にはウルトラマンがついている』といって立ち上がってみましょう」と説明した。これを実行することでこの患者は不安をふくらませることが少なくなった。